JMeLとは

医療系e-learning全国交流会(JMeL)は、医療系大学関係者の交流を目的に、平成17年度に文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラムの「eラーニング」に採択された大阪府立大学が発起校となり開催したのが始まりです。その後、現代GP採択校などeラーニングを推進している大学にバトンを渡しながら毎年1回開催を続けてきました。平成23年度から交流会を組織化して会則を定め、有志の世話人たちが現在も継続して活動を続けています。

現代の少子高齢化社会において、医療の果たす役割は大きく、国民の多様かつ高度な医療サービスに対するニーズにこたえる人材や、将来の医学・医療をきりひらく先端的研究の進展に寄与する人材が求められています。こうした要請にこたえるため、文部科学省「21世紀医学・医療懇談会」の第1次~第4次報告(平成8年~11年)(1)では21世紀に向けた医療人育成についての提言をまとめ、育成に関する考え方を次のように挙げています。

(1)  医療人としての能力・適性に留意した人材選考

(2)  人間性豊かな医療人

(3)  患者中心、患者本位の立場に立った医療人

(4)  多様な環境の中で育つ医療人

(5)  生涯学習する医療人

このような医療人を育成するためには、これまでの知識偏重で詰め込み型の一方向的な教育から脱却し、教育の改善を行っていく必要があり、eラーニングへの期待はますます高まっています。

医療者教育の中にeラーニングを導入する目的は、知識伝達式教育から能動的学習への転換、動機づけ、技能学習におけるマルチメディア教材の活用とオンデマンド教育、医療場面の疑似体験(シミュレーション)学習、アップデートされた知識の提供、医療従事者の卒後・生涯教育、チーム医療・地域連携・遠隔教育など、多種多様です。しかし、eラーニングの導入コストは膨大であり、医療系においても国の補助金や科学研究費などを導入資金にして継続的な運用実施へと推進が進んでいますが、以下のような課題もあります。

1.費用の課題

医療職教育における特殊性として、必修科目が多い、臨地実習科目が多い、実践能力の育成を重視、専門知識のアップデートが早い、国家試験に合格しなければならないことがあげられます。これらを解決するために、特殊性を踏まえた効果的なコンテンツの制作が必要となりますが、良質のコンテンツ制作には多大な時間と費用がかかるという問題が生じています。

2.人材・組織体制の課題

情報環境の整備に関して、教育に携わる医療従事者の多くは専門的な経験・知識を積んでいるが、必ずしも情報リテラシーが高いとは言えません。さらにICTの速い進展は、医療系のeラーニングへの期待とは裏腹に、導入に関する知識不足や少ない医療系の理解者、情報系の教職員との難しい意思疎通といった問題があり、推進者のみが孤軍奮闘し疲労困憊している現状も見受けられます。

以上のような課題を少しでも解決できるように、本交流会では、医療系eラーニングに関する分野で学術研究、教育普及活動を行うと共に、日本の医療系eラーニングを発展させ、もって国民の保健ならびに公益の増進に寄与することを目的とし、主に次の様な事業を行っています。

(1)  医療系eラーニングに関する学術大会の開催

(2)  ホームページ等による医療系eラーニングに 関する広報活動ならびに情報提供

(3)  医療系eラーニングに関する関係団体及び諸学会との協力、連携

(4)  著作権・複写権の保護に係わる事業

(5)  その他本会の目的達成に必要な事業

これらの事業を通して、当事者だけが孤軍奮闘するのではなく、情報系教職員、企業の方たちとも経験や情報を共有できる場としての医療系e-learning全国交流会を継続し、さらに各実践から得られた知見を学術的にも発信していきたいと考えています。


医療系eラーニング全国交流会 役員一覧(任期:2023年4月1日~2025年3月31日)

会 長: 木下淳博 東京医科歯科大学

副会長: 淺田義和 自治医科大学

世話人